失われた数学的直観の回復Recovering Mathematical Intuition
Phase 1 / Linear Algebra

能動変換と受動変換

対象を動かすのか、対象は動かさずに見る側の座標系・ものさしを変えるのか。同じ行列でも、読み方が変わる。

Webページ作成日時:2026-06-06 00:00 JSTWebページ最終更新日時:2026-06-08 13:25 JST
目次0. このページの位置づけ1. 能動変換と受動変換2. RGB・表記変換・条件付きの空間3. 次に進むこと

0. このページの位置づけ

このページでは、同じ行列を「対象そのものを動かすもの」として読む場合と、「対象は動かさず、見る側の座標系・ものさしを変えるもの」として読む場合を分ける。

この区別は、座標変換、逆行列、像と逆像、観測者へ進むための入口になる。

1. 能動変換と受動変換

ChatGPT

同じ行列でも、2つの読み方がある。

能動変換:対象そのものを動かす。
受動変換:対象は動かさず、見る側の座標系・ものさしを変える。

能動変換では、たとえば、

$$\mathbf{v}=\begin{pmatrix}3\\2\end{pmatrix},\quad A=\begin{pmatrix}2&0\\0&1\end{pmatrix}$$

に対して、

$$A\mathbf{v}=\begin{pmatrix}6\\2\end{pmatrix}$$

となり、ベクトルそのものが横方向に2倍へ動いたと見る。

一方、受動変換ではベクトルそのものは動かさない。同じベクトル

$$\mathbf{v}=\begin{pmatrix}6\\2\end{pmatrix}$$

を、新しい基底

$$\mathbf{b}_1=\begin{pmatrix}2\\0\end{pmatrix},\quad \mathbf{b}_2=\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}$$

で測ると、

$$\begin{pmatrix}6\\2\end{pmatrix}_{標準}=\begin{pmatrix}3\\2\end{pmatrix}_{B}$$

になる。

対象を伸ばせば、座標は大きくなる。
ものさしを伸ばせば、座標は小さくなる。

基底を並べた行列 B は、B座標を標準座標へ翻訳する装置である。

$$\mathbf{v}_{標準}=B\mathbf{v}_{B}$$

逆に標準座標からB座標へ戻すには、

$$\mathbf{v}_{B}=B^{-1}\mathbf{v}_{標準}$$

が必要になる。

2. RGB・表記変換・条件付きの空間

ユーザー

能動変換は、対象自体を変形する。対象は同じで、こちらの設定を変えるのは、同じアドレスでも10進数と16進数では表記が変わるのと同じかな?
色のRGBってベクトルだよね? r, g, b の三次元ベクトル。各値の幅が制限あるけど。

ChatGPT

対象は同じで、こちらの測り方・表記・座標系を変えるのは 受動変換 である。ただし、10進数と16進数の違いは、厳密には基底変換ではなく、数の表記法の変換である。

RGBは、赤・緑・青という3つの基本方向をもつ三次元ベクトルとして見られる。

$$\begin{pmatrix}r\\g\\b\end{pmatrix}$$

白は、10進数なら、

$$\begin{pmatrix}255\\255\\255\end{pmatrix}$$

ただし通常のRGBは、各成分が 0〜255 に制限された立方体の中の点である。

$$0 \le r \le 255,\quad 0 \le g \le 255,\quad 0 \le b \le 255$$

これは方程式ではなく不等式による制約であり、「条件付きベクトル」というより、制約条件つきのベクトル集合、またはベクトル空間の中の有界な領域である。

(255,255,255) と #FFFFFF は、同じRGB値を10進数表記で書くか16進数表記で書くかの違いであり、基底変換ではなく符号化・表記変換である。

3. 次に進むこと

次に扱うのは、標準座標から別の基底での座標へ直すこと。つまり、同じベクトルを別のものさしで測ることである。